パワハラを主張するユニオンと団体交渉を開催せずに解決した福岡の病院S

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

業種 病院
従業員数 30人程度
ユニオンの要求内容 パワハラによる慰謝料
解決までの期間 1か月程度

状況

病院のイメージ画像Sは福岡市内で整形外科を営む医療法人です。

2年前に、Yさんは、ハローワークの求人によりSに応募し、正社員(理学療法士)として雇用されました。

Sさんは、職場に馴染めず、半年ほど前から、病院を休みがちになりました。

 

ある日、飯塚市内のユニオンからYさんが加入して組合員になったこと、同ユニオンのK法人支部を設立してその支部長にYさんが就任した旨の文書が送付されてきました。

また、文書には、組合員であるYさんに対して不利益なことを行うと不当労働行為となるなどと記載されていました。

その後、ユニオンはK法人に対して、Yさんを正社員にすること、勤務環境を改善すること等を要求事項として、団体交渉の開催を求めてきたため、K法人は団体交渉に応じました。

 

団体交渉において、K法人の理事長は、Yさんを正社員にするつもりはないと回答しました。

これに対して、ユニオンは、K法人の行為が労働基準法に違反するなどと主張し、理事長に対して罵声を浴びせ、激しく非難しました。

初めてのユニオン対応に困惑した理事長は、当事務所に相談に来ました。

 

 

当事務所の労働弁護士のサポート

圧力のイメージ画像弁護士は、第2回目の団体交渉に同席し、K法人の代理人としてYさんの正社員化に応じないと断言しました。ユニオンは、納得せずにK法人の対応を非難しました。

 

その後もユニオンは、団体交渉の開催を求めてきました。

これに対して、弁護士はYさんを正社員にする法的義務がないことを説明しました。そして、話合いが平行線をたどっていたことから、これ以上は団体交渉に応じないと通告しました。

 

しかし、それでもユニオンは、さらなる団体交渉の開催を求めてきました。

また、K法人の対応が、「不誠実交渉にあたる」と主張し、県の労働委員会に対して、救済命令を申立てました。

 

そこで、弁護士は、理事長、担当者とともに、労働委員会の審問に出席し、K法人の対応に落ち度はなく、不当労働行為には該当しないと反論しました。

その後、複数回の調査等を終えて、最終的にはK法人の対応に問題がないと判断され、ユニオンの申立ては棄却されることとなりました。

 

 

補足説明

解説する弁護士のイラストユニオンから団体交渉が申し入れられた場合、正当な理由なくこれを拒否することはできません。また、不誠実な対応も不当労働行為として労働組合法違反となります。

しかし、これはユニオンの要求に従わなければならないということではありません。

本件では、団体交渉の開催自体には誠実に応じていましたし、K法人はYさんを正社員にする法的義務などなく、正社員化を拒否したとしても、そのこと自体が不当労働行為となるわけではありません。

したがって、労働委員会の判断は当然のものといえます。

なお、進展の見込みがない団体交渉を打ち切ることについて、詳しくはこちらをご覧ください。

労働委員会について、詳しくはこちらをご覧ください。

団体交渉の対応については、当事務所の労働弁護士までお気軽にご相談ください。

 

 






  

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