ユニオンとの労働紛争の解決方法を教えてください。
基本的には団体交渉に応じる義務があります。
紛争の類型
使用者と労働者の労働紛争は、当事者と対象事項の性質に着目して、次の四つの類型があります。
集団紛争は、労働組合のような多数当事者が主体となって使用者と争う類型です。
個別紛争は、労働者個人が使用者と争う類型です。個々の労働者の未払い残業代請求なども、労働組合がそれを議題として団体交渉を申し入れたりする場合は集団紛争となります。
権利紛争とは、例えば、未払賃金の請求など、労働者の権利の実現を目指して生じる紛争であり、その有無が争われます。
利益紛争は、例えば賃上げ要求など、新たな労働条件の決定をめぐって生じする紛争です。
個別紛争のほとんどは権利紛争ですが、例えば、昇給をめぐって生じる利益紛争のようなものも存在します。
相手が労働組合の場合、集団紛争となります。この場合、賃上げなどの利益紛争が典型です。
紛争解決の手段
監督的解決
紛争解決の第一は、労働基準監督署による指導や取締などの監督的解決があげられます。
例えば、使用者に残業代未払い等の労基法違反があった場合、労働基準監督署から使用者に対して、指導がなされることで、紛争が解決されることがあります。
判定的解決
第二は、裁判所や労働委員会が労使当事者の権利・義務の存否やその範囲について、判断を示す判定的解決です。
この場合、権利・義務の存否等について、使用者・労働者の双方から主張立証がなされた上で、判断権者が慎重に判断するため、解決まで長期間を要する傾向です。
また、権利・義務の存否等の判断を目的等するため、利益紛争の解決には馴染みません。
調整的解決
第三は、斡旋、調停、仲裁など、一定の機関の関与によって、労使双方の利益調整を図り、双方の合意に基づいて紛争を解決する調整的解決です。
利益紛争は、この調整的解決によって解決されるほかありませんが、権利紛争にもよく利用されます。
これは、権利紛争であっても、判定的解決には時間を要すること、また、特に労使紛争はなるべく和解等で円満に解決するのが望ましいといった面があるからです。


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会
保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
専門領域 / 法人分野:労務問題、ベンチャー法務、海外進出 個人分野:離婚事件
実績紹介 / 福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。労働問題を中心に、多くの企業の顧問弁護士としてビジネスのサポートを行なっている。『働き方改革実現の労務管理』「Q&Aユニオン・合同労組への法的対応の実務」など執筆多数。
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