指定された団体交渉の場所を調整できますか?

カテゴリ: 5.団体交渉への対応方法

質問マークユニオン(合同労組)から団体交渉の場所の指定がありました。

必ず応じなければなりませんか?

困る社長のイメージイラスト

 

 

弁護士の回答

弁護士入野田智也イラスト

団体交渉の場所に決まりはなく、調整が可能です。

 

 

解説

団体交渉の場所の法的規制

解説する弁護士のイラスト労働組合が使用者に対して団体交渉を申し入れる場合、書面で申し入れることがよくあります。(この場合の書面のサンプルはQ&A「日時を指定された団体交渉に業務上の都合で参加できない場合どうしたらいいですか?」の団体交渉申入書を参照してください。)

こちらには、団体交渉の場所が「◯◯ユニオンX会議室」と記載されています。このように労働組合は、事前の調整もなく、一方的に団体交渉場所を指定してくることがあります。

そこで、このような場所に指定に応じなければならないかが問題となります。

この点、使用者は、労働組合からの団体交渉申入れがあった場合、義務的交渉事項についての申入れであれば、交渉に応じる義務があります(労組法7条2号)。また、使用者は、単に応じるだけではなく、誠実に交渉に応じなければなりません。

しかし、団体交渉の場所について、労働組合からの提示に応じなければならないという規定はありません。

会議室の画像また、団体交渉の趣旨からすれば、団体交渉は労使双方の参加しやすい場所で行われるべきです。ユニオン(合同労組)のような外部の労働組合については、使用者は実態がわからないことが多く、そこでの団体交渉の開催については抵抗を感じる場合があります。したがって、労働組合からの一方的な場所の指定に対しては変更等の調整が可能というべきです。

使用者側から団体交渉の場所の提案を書面で行う場合、書式のサンプルについては(Q&A「日時を指定された団体交渉に業務上の都合で参加できない場合どうしたらいいですか?」)の回答書を参照してください。

 

団体交渉の場所を企業外の会場にする場合

会議室の画像前記のとおり、団体交渉の場所に直接的な法規制はありませんので、使用者側は、団体交渉の場所として、企業外の会場(例えば、貸会議室等)を提示することも可能です。実際にも、多くの事案で企業外の会場で開催されています。

もっとも、労働組合側が企業外の会場での開催を拒否している場合、使用者が合理的な根拠なく、企業外の会場に固執すると、不誠実交渉として不当労働行為となるおそれがあります(以下の裁判例参照)。

【参考裁判例】四条畷カントリー惧楽部事件(大阪地判昭62.11.30労判508号28頁)

ゴルフ場のイメージ画像この事案は、使用者が団体交渉の場所を指定したことが不当労働行為にあたるかが問題となったケースである。

裁判所は、団体交渉の場所について、
「本来労使双方の合意によって定められるべきであり、一般には労働者の就業場所で行うのが団結権維持の観点から適当であると解せられるが、合意の整わない場合において使用者が一方的に就業場所以外の場所を指定したとしても、そのことに合理的な理由があり、かつ、当該指定場所で団体交渉をすることが労働者に格別の不利益をもたらさないときには、使用者がその場所以外での団体交渉に応じないとすることをもって不当労働行為にあたると解すべきではない。」
という判断基準を示している。
その上で、本件については、
「補助参加人(労働組合側)は一貫してゴルフ場のクラブハウス内を団体交渉の場所として指定し、原告(使用者側)は大阪府青少年会館や被告の肩書地である大阪府立労働センターを指定して補助参加人の指定場所における団体交渉を拒否していたことは明らかであるところ、補助参加人は、昭和59年4月4日から連日就労闘争と称してゴルフ場へ大量動員をかけて押しかけ、クラブハウス前において、ビラの配布、シュプレヒコール、ジグザグデモを繰り返したり、従業員食堂、同休憩室に座り込み、同年4月8日には、来場者が続々と到着する時間帯にゴルフ場入口の門扉を約2時間にわたって閉鎖してその入場を阻止したため、原告側と揉み合いとなり負傷者を出す混乱を引き起こし、更に、このような補助参加人の営業妨害的行為を排除するため補助参加人らに対しゴルフ場への立入禁止の仮処分が出されたにもかかわらず、この仮処分は不当であり、ある程度の立ち入りは当然許されるとの独自の解釈をもって、従前と同様ゴルフ場へ立ち入り、クラブハウス前においてビラの配布、シュプレヒコール、ジグザグデモを繰り返し、時にはクラブハウス内に突入しようとして警戒にあたっていた警官隊と小ぜりあいを起こす等立入禁止の仮処分を全く遵守しなかったのであり、これらの補助参加人の行動は同年11月ころまで程度の差はあっても継続したため、原告のこの期間中の来場者は、前年の同期間と対比して約3300名も減少したのである。
このような補助参加人の就労闘争の状況、立入禁止の仮処分が出された経緯及びこの仮処分の遵守状況等を総合すると、本件における各仮処分決定は、私法上の被保全権利に基づきなされたものであり、したがって補助参加人の公法上の団体交渉請求権を直ちに制約するものではないとしても、原告がクラブハウス内において団体交渉を行うことは相当でないとして、前示の場所を指定して補助参加人の指定した場所における団体交渉を拒否したことは十分首肯し得るところであり、他方、原告の指定した前示の場所及び補助参加人の住所地は何れも大阪市内にあり、とりわけ大阪府立労働センターは被告の所在地でもあること、組合員らは当時何れもゴルフ場で現実に就労していたわけでもないこと等を考慮すると、前示の場所において団体交渉を行うことによって補助参加人に格別の不利益を及ぼす事態を予想し難いから、原告のクラブハウス内での団体交渉の拒否は正当な理由のない団体交渉の拒否とはいえない」
として、不当労働行為の成立を否定した。

 

 



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